創作のインプット

twitterで創作のインプットが足りないという話題を出したところ、
「インプットとはどのようなものでしょうか?」とご質問をいただきました。
質問してくださってありがとうございます。
シンプルにお返事できなかったので、ここでつらつら書きたいと思います。
創作全般に言えることだと思いますが、私が絵を描いてるので
絵の例でいきたいと思います。

私は、創作は自分の中にあるものを何らかの形で表現することだと思っています。
自分の中にある素材を、自分なりの方法で形にしていく。

目を開いて、耳を澄ましていれば、日常の生活だけから得られる情報でも十分だけど、
もし自分の作りたい世界がぼんやりとでもあるのなら、
その世界に添えられそうな素材を探しに行ってみたらいいと思います。
まずは憧れの作品を集めてみるとか。
自分で楽しむだけなら著作権は侵害しないので、
ネットで見つけた好きな作品や画像をいっぱいプリントアウトしてファイリングしたり。
その人の展覧会に足を運べる機会があれば、行ってみたり。
そこからさらに、自分の作りたい世界が広がってくることも多いと思うのです。

素材を集めてみると、たぶん自分でも作り手になりたい欲求が沸いてくるはずです。
こういうところは取り入れたいとか、自分ならこの方法は使わないな、とか。

私の場合は、最初はひたすら模写でした。
宮崎駿とかマグリットとかを模写しまくった時期があります。
模写は大事だと思います。さいしょはなるべくそっくりに模写します。
じっくり隅々まで見ているつもりでも、
模写をしてみたら、実はあんまり見ていなかったことがわかるのです。
模写をすることで、対象を見る目を養えるし、画力もついでに向上します。
一石二鳥です。
そこからさらに、自分の色を少しずつ足していったり
複数の模写から得られたスキルを混ぜ合わせるなどの習作を重ねていくと
いつしか自分の絵になっていくと思います。

また、素材が同じ媒体(絵なら絵をみるだけとか)だと満足できなくなってきます。
そんなときは、ちょっと違うジャンルの作品を見たり、あるいは自分で体験したり、
旅行など、日常から離れた体験をするとかも良いです。
私は一時期、粘土の球体関節人形作りに熱中した時期がありました。
人形作りはまったく不得意なことが分かっただけで終わりましたが、
いろんな角度から人の形を見る経験は、その後の人物画のスキルを向上させました。
また、人形の顔を化粧するように描いていく作業が、
絵画における人物の顔の描写に少なからず影響しているのではないかと思います。

こういう訓練を重ねているうちに、
絵とはほとんど関係ないと思っていた日常的に見ていた物事が
絵の中に反映される瞬間を体験することができます。
この感覚が得られたら、実は自分が過去に生きてきたすべてが
創作の素材だったことに気づくはずです。
からっぽなひとはいません。すでに持っているものの価値を知らないだけなんです。
ここまでくると、いろいろな作家さんの影響を受けながらも
自分のオリジナリティを追求できるレベルになると思います。

その先は、日常からでも創作の素材をより多く見つけるアンテナを張りめぐらせながら、
ときどきはとっておきの体験をしたり、好きな作品、芸術に触れることで高級なエッセンスを加え
それを自分の中で練り練り混ぜ混ぜしていけば、やがて次の自分の作品が生まれます。

私はまだまだ道半ばなので、インプットもまだ不完全だし、
それを自分の作風に反映させる技術も、
真に自分が表現したいものをイメージするスキルも不十分です。
もしこのインプットの記事が少しでも参考になれる方がおられるならば
一緒に切磋琢磨していけたらとても嬉しいです。

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コルドバのパティオ(予習編)

コルドバでパティオを見て回るのに、パティオ祭りはうってつけの機会です。
普段街路から閉ざされている個人宅の中庭が解放されるのですから。くわえてこのお祭りで公開されるパティオは、住民によって丹精込めてしつらえられ、自信をもってコンテストにエントリーされた珠玉の空間です。コルドバでもっとも花が咲き乱れる5月の半ばに開催されるというのも重要なポイントです。

毎年かわる開催日や公開されるパティオは事前に公式サイトでアナウンスされます。
今年からなのか、公式サイトには写真もみれる地図があります。ぜひこちらでもパティオのすばらしさを体感していただければ!

観光側のお祭りへの参加については、特別なエントリーや権限はなく、必要なことを強いて挙げるとすれば、個人宅にお伺いするマナーとパティオへの尊敬と称賛の念くらいでしょうか。
ホテルやインフォメーションセンターに行くと公開されているパティオの地図を受け取ることができます。
それがこちら。

おそらくですが、パティオの住人が運営側にエントリーすることで見学可能なパティオが決まるので、開催年によって若干の違いはあると思います。でもガイドブックなどに載っている有名なところは常連なんじゃないかな。

私が回ったところ感じた大体の傾向を4種類に分けました。(上の地図に赤字で示した地域)

  1. ガイドがおすすめする、美しいパティオが密集した地域
  2. パティオの内容としてはお薦めだし、メスキータやアルカサルなどの観光スポットから近いし、パティオが密集しているので動き回る必要もない……そのかわりちょっと信じられないくらいの混雑です。おそらくツアー客の順路になってます。30分待ちなどざら。

  3. 正統派パティオが多めの地域
  4. 多少歩き回る必要があるけれど、かなり正統派な建築構造のパティオがそろっています。構造については後で述べます。私のお気に入りの地域です。

  5. 郊外のわりと新しめの住宅の中庭をとにかく花で飾った地域
  6. 後述しますが、コルドバは旧市街地の中でも古い地域と新しい地域に分かれていて、このあたりは新しい地域の外れになります。パティオ構造はわりとフリーで、どちらかというと住居の間に作られた自由な形の中庭に、これでもかと花を生い茂らせた努力賞的なパティオが多いです。パティオ建築に興味を持った人にはちょっと微妙かもしれない反面、お花が好きな人にはお薦めの地域。

  7. かなりフリーダム…これパティオ?というのも多いが贅を凝らした地域
  8. はしっこの方はもはや中庭ですらない……けれども閉ざされた裏庭のような趣のある庭ばかりでした。広い空間を使った庭が多く、手間とおかねはかかってそう。古典的なパティオに飽きたらつまむのにちょうどいい地域。

こんな地域傾向がありますので、好みに沿って回ってみるのがいいんじゃないかと思います。
旧市街地の新旧については、街角にかかってたこの地図がわかりやすいです。

城壁に囲まれた地域の真ん中にも城壁があります。この真ん中から左がメディナと呼ばれるローマ時代からある地域です。右側はアジャルクイアと呼ばれていた地域で、十世紀ごろに膨れ上がる人口を収容するために拡大された地域です。

メディナのほうが袋小路が多いです。その奥の住居の中にいくつものパティオがあり、パティオを通り抜けられる住民だけが別の袋小路に出られるという構造になっています。これはかつて侵略されることの多かったコルドバの住民の自衛の策だったといいます。街路から住居への入り口は頑丈な木戸や鉄の扉で閉ざされていることが多く、通りを歩くものを拒絶する雰囲気なのですが、ひとたび中に入ると裏にも抜けられる居心地のいい空間が広がっているというわけです。

ちなみにこの古地図のようなイラストの手前に描かれている、マッチ箱を倒したような建造物がメスキータ、その左側の庭園がアルカサル。
街の南を流れる川はアンダルシアを横切るグアダルキヴィル川でそこにかかるのがローマ時代に建設されたというローマ橋です。

最後に、パティオの構造について。
これは『建築探訪11 南欧のミクロコスモス』(畑 聡一/丸善)から知識を得ました。

この本をふまえつつ、私の独断と偏見によるパティオ要素を列挙します。

  • 方形(正方形かそれに近い長方形)である
  • さいしょにパティオに足を踏み入れて、「あ、パティオだ」と思う最大の要素。四角でないと、パティオではなく単なる中庭という印象になります。

  • 列柱廊に取り囲まれている
  • これはコルドバよりもセビリアなどで見られる荘厳な様式のようです。ローマ様式を踏襲した貴族然としたたたずまいのパティオになります。また、空に開いた明るい中央部と回廊で陰になった空間のコントラストが美しく、奥行き感もとてもいいです。四面すべてとは言わないけれど、どこかにこの空間があるのが好きです。

  • 二階の回廊やそこへのアプローチ階段
  • 柱廊のアドバンスコース的な二階の回廊。庶民宅ではこれはほとんどありません。アプローチ階段があると、そこが恰好の花台となり、植物を立体的に魅せている家が多かったです。

    パティオとその周りの部屋の構成に関しては、以下の間取り図がわかりやすいのでごらんください。

    建築探訪11 南欧のミクロコスモス(畑 聡一/丸善)28ページより引用
  • 鋳物の飾り扉がある
  • たいていのパティオの入り口には、鉄の透かし扉があります。イスラム様式を踏襲し、植物を模した模様か幾何学模様がメイン。私はとくに幾何学模様の複雑な飾り扉がすきです。透かし窓は日本や中国の格子戸も好き……そこから覗き見る美しい空間がたまらないと思うのです。個々のパティオを紹介する際にも折々触れたいと思います。

  • 床面のしつらえは玉石、タイル、煉瓦
  • アンダルシアに特徴的な玉石の床面。おそらく円盤状の石を使っているのですが、平たい部分を表面に出すのではなく、円盤を立てて敷き詰め、ベージュと黒の二色で模様をつくるのがこの地方の特色のようです。はだしだと足つぼマッサージになりますね。
    その他、白黒のタイルも多いです。郊外に行くと煉瓦の床も散見されます。

  • 壁面のアラベスク
  • イスラム文化が色濃く残る街ならではの、腰の高さまでのアラベスクタイル。アルハンブラ宮殿ではこれでもかとみられますが、コルドバのパティオにもありますよ。

  • オアシスを感じさせる水盆や井戸
  • 昔はちゃんと井戸があって水を汲んでいたりもしたのかもしれませんが、もはやオブジェとなっている水場。でもこれは重要なポイントでどんな狭いパティオにも何らかの形で存在しています。さらに何らかの水音があるととてもよいです。コンテストにエントリーしているパティオはなみなみと水をたたえ、花びらを散らすなどの趣向をこらしていたりもしますが、たまに街路から見える放置されたパティオなどでは水盆が枯れており、打ち捨てられ感が甚だしいです。

  • 隅々に飾られた骨董の数々
  • 昔の栄華を懐かしむ意味も含めて骨董が飾られているそうです。パティオに面した一室をわざわざ昔のしつらえにして公開しているところも多いです。

  • 壁面を覆いつくす花
  • コルドバのパティオといえば、何をおいても花が特徴的なんだそうです。栄華ははるか昔、中世以降は落ちぶれ続けた街の庶民は建築に財をつぎ込めないため、そのぶん花で飾る特徴があるんだとか。私は建築がすきだけどな……でも花はほんとうにすごいです。一日2回は水をやらなければならないそうですが、たぶんこれ、仕事のない人がまる一日かけて毎日やる作業です。また、さらに閉ざされたバックヤードではバックアップの鉢も育てているそうです。

こんなところがパティオのみどころです。
ここまで説明するのにかなりエネルギーを使ってしまったので、このさきどこまで続けられるか不安ですが、次からはぼちぼち、パティオの紹介をしたいと思います。

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コルドバのメスキータ

コルドバで必ず見ておかねばならないメスキータ。

ヨーロッパでかつてイスラム教だった街がキリスト教の侵略をうけると、たいていモスクだったところがほぼすべて取り壊されて教会が建てられます。そこにモスクがあった形跡はほとんどなくなるか、あるいは土台を転用するため、装飾が入れ替わり礼拝堂が設置されるか……といったところばかりです。

しかしコルドバのメスキータは「モスクの中に礼拝堂がすっぽり収まった建築」なのです。

もともとコルドバはカルタゴ人によって造られたといわれています。その後フェニキア人、ローマ帝国と侵略され、紀元後712年にサラセン帝国が侵入することでイスラムの街となります。1236年にキリスト教に滅ぼされるまで、コルドバは繁栄を極めます。一時は人口100万を超えるヨーロッパいちの都市でした。
この当時、コルドバのモスクは増え続ける礼拝者を収容すべく、幾たびも増幅を重ねて巨大な建造物へと成長しました。イスラム教は偶像崇拝を禁止しているのでアラベスクが主たる装飾で、メッカの方向を示す壁面のほかは屋根を支える柱とアーチのみ。そこには広大な円柱の森が広がっていたといいます。

今でもメスキータに入ると円柱の森を体感することができます。国際展示場を天井の低い石造りにしたような、というと身も蓋もないですが、ほんとうにがらんどうなのです。その空間が宇宙的で、屋根を支えるアーチの規則性や彫のほどこされた木製の天井などと相まって荘厳な雰囲気をたたえています。

この空間がメスキータじゅうに広がっていたらどんなにすごかったことか。
けれども、キリスト教侵略後、司教がメスキータの中央部を取り壊し、キリスト教の礼拝堂を建ててしまいます。

こんにちではむしろこちらの方が撮影スポットなわけですが……。

普通の建造物であったなら取り壊されるところであったこのモスク。しかしその広大さ、荘厳さがキリスト教の支配者をも圧倒し、司教は中央部を礼拝堂にするにとどめました。また、当時のヨーロッパ全土の支配者であったカルロスI世は、取り壊し後にメスキータを訪れ、これほどまでに見事な建造物を取り壊す許可を与えたことを後悔したといいます。

屋外にはオレンジの中庭とミナレットがあり、ミナレットには登ることができるようです。

コルドバへはパティオを目的として訪れましたが、メスキータの荘厳さにはただただ圧倒されました。
あの空間に足を踏み入れることができたのは幸せなことでした。すばらしい建造物です。

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アンダルシア旅程と旅の準備

コルドバのパティオ祭りを照準に、アンダルシアを旅してきました。
9年ぶりの海外旅行です。

コルドバのパティオに興味を持ったのは学生時代でした。
こちらの本。

南欧のミクロコスモス

丸善出版の「建築探訪」シリーズの一冊です。このシリーズは既に絶版になっていますが、古書などで比較的手に入りやすいと思います。

建築探訪シリーズの中には『南イタリアの小都市紀行』という本もあり、こちらは9年前の旅の道しるべになりました。今回は『南欧のミクロコスモス』より、スペイン・アンダルシアのコルドバとグラナダへ。

アンダルシア地方はイスラム教とキリスト教が攻防を繰り返した影響が色濃く残る地域で、特にコルドバはイスラム教時代、ヨーロッパ最大の都市でした。当時の人口は100万を超え、メッカへの礼拝のために街のモスクは拡張を重ね6万人を収容する巨大施設となりました。その後、レコンキスタでキリスト教がコルドバを奪還し、のちの司教がモスクの中にキリスト教の礼拝堂を組み込みました。出来上がったのはイスラム教建築とキリスト教建築が混在する、世界でも例を見ない「メスキータ」という建造物。これを見るのが今回の旅の目的のひとつでした。

もうひとつ、アンダルシア地方で特徴的なのは「パティオ」と呼ばれる中庭中心の住居建築です。過酷な気候や外敵の多い地域では、住居の外側は閉ざされ、中庭に開いた住居形態が多く存在します。特にコルドバは庶民の住居に程よい大きさのパティオが多く残る街です。それぞれのパティオの住民は、自分の空間をタイルや花、アンティークで飾り立てます。
これらパティオは外の道から個人宅へ入り、さらに奥にあるため、通常は見ることができません。しかし、花の咲き乱れる5月の半ばに開催されるパティオ祭りでは、我こそはと祭りにエントリーしたパティオが一般公開されます。次に海外へ行く機会があったら、パティオ祭りは外せない……と狙っていましたが、まさに今回がこの絶好の機会でした。

最後にアンダルシア地方で外してはならないのはグラナダの「アルハンブラ宮殿」。スペインのイスラム教最後の都市として200年ほど栄えたこの街の宮殿は、見事な細工を施した部屋がいくつも存在します。

これら3つのポイントを網羅する旅程をこんな感じで組みました。

5/09 00:50 羽田発 → 06:50 フランクフルト(飛行機)
5/09 09:30 フランクフルト → 12:05 マドリード(飛行機)
5/09 15:05 マドリード → 17:07 コルドバ(列車)

5/10-12AM コルドバ観光

5/12 14:00 コルドバ → 17:00 グラナダ(バス)

5/13 アルハンブラ宮殿観光

5/14 08:43 グラナダ → 12:07 セビリア(列車)

5/14 PM セビリア観光

5/15 13:30 セビリア → 16:15 ミュンヘン(飛行機)
5/15 21:25 ミュンヘン → 5/16 15:50 羽田(飛行機)

日本とスペインの時差は現在7時間です。中央ヨーロッパ夏時間の最西端なので、夜明けが7時ごろで日没が夜9時半。とっても遅くまで明るいです。

持ち物は最小限に抑えました。
気温はこの時期20度~30度とのことだったので、服装は夏対応で……といっても、グラナダは標高738mで街からシエラ・ネバダ山脈の残雪も見えるくらいなので朝はかなり冷えます。寒がりなのでヒートテックのタートルネックに半袖の被りものがメインでした。着ていくものともう1着。あとはレインコートにもなるスプリングコート、カーディガン、ストール。わりとすべて活躍しました。洗濯用の石鹸を持参して、下着などは毎日シャワーのあとで洗います。あと、普通この地方の夏は乾燥しているのですが、なぜか降雨にぶつかってしまい、念のため持って行ったちっちゃい折り畳み傘とレインコート、カメラ用のビニール袋が大活躍しました。
お化粧品は日焼け止めクリームと保湿剤のみ。
デジカメ関連はちょっと嵩みました。魚眼レンズと標準ズーム。メディアはリスクヘッジのためにSDカードを6枚持っていきました。毎日取り換えます。
スーツケースは56L(3~4泊用)を使いましたが往路はスカスカでした。

こんな装備で旅立ちました。
次はコルドバのメスキータの紹介です。

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1 week travel

久々に、1週間の旅行に行くことになりました。
行先はスペインのアンダルシア地方です。

3泊用のスーツケースに、
着てる1着と同じ服を1着分と寝巻。
お化粧品は日焼け止めクリームと保湿剤のみ。
カメラはミラーレス一眼と標準ズームと魚眼。
これだけ入れれば十分かな。

行ってきます。

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